牛乳ベースの汁で味わう鍋料理。飛鳥時代に唐から来た渡来人の僧侶が、寒さをしのぐためにヤギの乳で作った鍋料理が最初といわれている。鶏がらのダシ汁に白味噌と牛乳をたっぷり加え、鶏もも肉、にんじん、ささがきごぼう、白ねぎ、大根、もやし、しいたけ、白菜、水菜、豆腐、糸こんにゃくなどを煮こむ。食べる際は、しょうがや一味唐辛子などを加え、溶き卵につけるのが一般的だ。牛乳のにおいも強くなく、味はまろやか。あっさりしているのにコクもあり、栄養も満点だ。
「飛鳥鍋」は、奈良県の伝統料理で、鶏肉と野菜を牛乳とだし汁で煮込んだものです。
飛鳥時代に唐からの使者が伝えた乳製品が、孝徳天皇に献上され、喜ばれたことが起源とされています。当時は貴族の飲み物でしたが、僧侶たちも飲むようになり、そのうち飼っていた鶏の肉を牛乳で煮て食べるようになりました。これが「飛鳥鍋」の起源とされています。牛乳は高価だったため、当時は飼っていたヤギの乳を使っていました。昭和初期には、地域の産品である牛乳を使った現在の「飛鳥鍋」が考案されました。
「飛鳥鍋」は一年を通して食べられますが、特に冬場に体を温めるために食べる機会が増えます。
食べ方は、お好みの季節の野菜や鶏肉などの具材を入れて食べるのが一般的です。野菜や鶏肉から出る出汁が豊かなので、締めにうどんなどを入れても美味しいです。
近年では、「飛鳥鍋」をベースとした新しい料理、「大和鍋」が登場しています。こちらは牛乳の代わりに豆乳を加えた、まろやかでコクのあるヘルシーなアレンジです。
主な伝承地域:奈良盆地中南部
主な使用食材:鶏肉、牛乳、はるさめ、しいたけ、白菜、春菊、人参、白ねぎ、ごぼうなど