蘇(そ)は、古代の日本(飛鳥時代~平安時代)で作られていた、牛乳を使って作られる日本古来の「チーズ」のような乳製品の一種。6~10世紀頃に大陸から入ってきたといわれており、古くはお供えものとして使われていたという。文献で確認されているが、製法が失われた「幻の食品」となっている。具体的な製法は不明であるが、書物の記述から推測される製法に基づき、現代でも蘇が作られている。
根気よく練りながら牛乳を煮詰めたあと、冷し固めて作られる。出来たてはキャラメルのような食感で、香ばしい香りとほのかな甘さが楽しめる。お茶あてのお菓子として、ワインのお供のチーズの代わりにと、様々な食べ方で楽しめるが、牛乳と一緒に食べてもおいしいとか。奈良を訪れた際はぜひ味わってみて欲しい。
西井牧場のみるく工房飛鳥で作られる「飛鳥の蘇」は、古代の製法をできる限り再現して作っている。干し草を中心とした無添加にこだわった餌で育てた自家牧場の牛の生乳のみを使用して、搾りたての牛乳を火にかけ7~8時間じっくり撹拌させて作られた乳製品。水分をゆっくり飛ばしているため、蘇1箱(80g)に1リットルもの牛乳を使用して作られており、栄養価とコクがぎゅっと凝縮されている。表面はサックリとした歯ざわりで、口に入れると程よくしっとり。現代のチーズと比べると格段にシンプルな味わいではあるが、生キャラメルの甘さを控えめにしたようなあっさりとした上品な味わい。