初瀬山の中腹にある長谷寺は、牡丹の名所として知られており、4月下旬から5月上旬には、150種以上、7000株もの牡丹が満開になります。
古くから「花の御寺」と称され、『源氏物語』『枕草子』『更級日記』など多くの古典文学に登場しています。
また、「二本の杉」は『源氏物語』にある玉鬘の巻のエピソードで言及され、現在も境内に残っています。
「長谷寺」を名乗る寺院は日本各地に数多くあり、他と区別するため「大和国 長谷寺」「総本山 長谷寺」と呼称することもあります。
西国三十三所第8番札所であり、輪違い紋を寺紋としています。
寺伝によれば686年に創建されたとされています。初瀬山の西の丘に、僧の道明が三重塔を建て、東の丘には聖武天皇の勅命により僧の徳道が本尊の十一面観音像を祀ったとされていますが、これらについては正史には記されていません。
長谷寺は平安時代中期以降、観音霊場として貴族の信仰を集め、中世以降は武士や庶民にも信仰を広めました。
正堂(本堂)は正面が京都の清水寺本堂と同じく懸造りになっていて、相の間、礼堂とともに構成された巨大な建築です。
十一面観音像を祀る建物ですが、室町時代までに7度も焼失しています。豊臣秀長の援助で再建され1588年に完成した堂に雨漏りがありました。
そこで江戸幕府の第3代征夷大将軍である徳川家光の寄進を受け再建し、1650年に完成したものが現在の本堂で、国宝に指定されています。
本尊は木造十一面観音立像で、現在の本尊像は1538年の再興で、室町時代の仏像彫刻衰退期の作品にもかかわらず、10メートルを超える巨像を作り上げています。
重要文化財に指定され、かつ国宝・重要文化財指定の木造彫刻の中でも最大級の大きさです。地蔵菩薩の持つような錫杖を持った独自の形式をしています。
新本堂建設工事は巨大な本尊を原位置から移動せずに行われました。そのため、本堂は内陣の中にさらに内々陣(本尊を安置)がある複雑な構成となっており、内々陣は巨大な厨子の役目をしています。
4月〜9月 8:30~17:00
10月~11月 9:00~17:00
12月~2月 9:00~16:30
3月 9:00~17:00
無休
入山料金
大人 500円
中・高校生 500円
小学生 250円
近鉄大阪線「長谷寺」駅より徒歩15分