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長谷本寺

(はせほんじ)

長谷本寺は、奈良県大和高田市に位置する真言宗豊山派の古刹で、市内最古の寺院として知られています。山号は妙音山と称し、本尊には長谷寺型十一面観音菩薩(奈良県指定文化財)が祀られています。豊かな歴史と文化財に恵まれたこの寺院は、長い歳月を経て人々の信仰を集めてきました。

歴史と由来

開山と初期の歴史

長谷本寺の開山は710年(和銅3年)とされ、その創建は大満上人によるものと伝えられています。当時、日本最古の官道である横大路に面したこの地に寺院が建立され、多くの人々が行き交う場所として栄えました。古くから地元の信仰を集め、奈良時代から続く歴史が感じられる貴重な古刹です。

廃仏毀釈と再建

明治時代初期の廃仏毀釈の影響で、長谷本寺も多くの寺宝や古文書を失い、その歴史を知る資料が散逸してしまいました。しかし、いくつかの史料にその存在が記録されており、1193年(建久4年)の『礒野庄古図』や1400年頃の『注進 金峯山免田田数事』には、当寺の名前が見られます。また、1553年(天文22年)には、貴族であった三条西公条が吉野参詣の際に二度にわたり宿泊したことが記録されており、かつては貴人をもてなす寺院としての役割も果たしていたことがうかがえます。

寺院の伝説

長谷本寺には興味深い伝説が伝えられています。滋賀県高島郡三尾に生えていた神秘的な大木が、大洪水で流されて奈良の地にたどり着き、その霊木から観音像が刻まれたというものです。大満上人が霊木に祈念を込めて彫り始めた際、夜半になるとノミの音が妙に響き渡り、その音に合わせて観音像が自ら形を現したとされています。これが現在の本尊である長谷寺型十一面観音菩薩であり、山号の妙音山もこの伝説に由来しています。

貴重な文化財

木造十一面観音立像(奈良県指定文化財)

平安時代に制作された一木造りの十一面観音立像は、藤原初期の彫刻技法をよく伝える貴重な作品です。その優れた造形美から、文化財保護法に基づき奈良県指定文化財に登録されています。

木造兜跋毘沙門天立像(奈良県指定文化財)

平安時代に制作されたこの像は、堅実な彫技と穏やかな表情が特徴で、古式を感じさせる貴重な遺品です。地天像との組み合わせが見事であり、その保存状態も良好です。

その他の文化財

建造物

鐘楼

現在の鐘楼は1978年に再建され、薬師寺に次ぐ奈良県で2番目の大きさを誇ります。除夜の鐘として一般開放されるほか、平和の鐘としても親しまれています。

薬師堂

1943年に西国8番札所の清浄院を移築したもの。風雨による傷みが激しかったため、1300年記念法要に合わせて大規模な修繕が行われました。

アクセス

おわりに

長谷本寺はその長い歴史と数多くの文化財を誇る隠れた名刹です。事前予約が必要な場合もありますが、その静かな境内で過ごす時間は訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。

Information

名称
長谷本寺
(はせほんじ)

葛城・御所

奈良県