巣山古墳は、奈良県北葛城郡広陵町三吉に位置する前方後円墳で、馬見古墳群(中央群)の中でも特に重要な古墳の一つです。国の特別史跡に指定されており、その壮大な規模と保存状態から、古代日本の豪族の権力と文化を示す貴重な遺跡として知られています。
巣山古墳は全長204メートル、後円部径110メートル、高さ25メートル、前方部幅94メートル、高さ21メートルの大規模な前方後円墳です。墳丘は三段に築成され、急な斜面には安山岩系の礫石や割石が敷かれています。また、前方部と後円部の両方には方形の造り出しがあり、古代の儀礼や政治的な儀式に使用されたと考えられています。
古墳の周囲には幅の広い楯形の周濠が巡らされており、水をたたえた堀に囲まれた構造になっています。後円部側で33メートル、前方部側で37メートル、くびれ部で57メートルと、場所によって異なる幅を持ち、外堤の幅は最大で27メートルに達します。特に東面と北東側は高く築かれ、古墳全体をより神聖な空間として際立たせています。
後円部の頂上には明治期に盗掘された痕跡があり、内部には二基の竪穴式石室が並行して設けられていたとされています。また、前方部先端には小型の竪穴式石室が存在した可能性があり、その付近からは祭祀に関連する滑石製刀子や籠形土器が発見されており、古墳が単なる墓ではなく、古代の宗教的中心地であったことを示唆しています。
巣山古墳からは多くの貴重な埴輪が出土しており、これらは広陵町文化財保存センターに展示されています。特に、水鳥形埴輪や囲形埴輪、柵形埴輪は、古代の儀式や信仰を物語る重要な資料です。さらに、船形の埴輪も見つかっており、葬送や海洋信仰との関連が考えられます。
巣山古墳は、1927年(昭和2年)に国の史跡に指定され、1952年(昭和27年)には特別史跡に昇格しました。1989年(平成元年)には史跡範囲が追加指定され、保護が強化されました。これは、巣山古墳が日本古代史において極めて重要な遺跡であることを示しています。
巣山古墳へのアクセスは、奈良県北葛城郡広陵町内に位置しており、周辺には馬見丘陵公園や他の古墳群も点在しています。公共交通機関や自家用車での訪問が便利です。
巣山古墳は、その壮大な規模と歴史的価値から、日本の古代文化を探る上で欠かせない遺跡です。訪れることで、古代の豪族たちが築き上げた壮大な権力と信仰の世界に触れることができます。