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葛城市

(かつらぎし)

山と歴史、信仰が息づくまち

葛城市は、奈良県中西部に位置し、大阪府と県境を接する自然と歴史に恵まれた市です。葛城山から二上山へと連なる山並みの東麓に広がり、古代から交通・文化・信仰の要衝として発展してきました。市域には、古墳や神社仏閣、街道、農村景観が点在し、現代においても日本の原風景を感じられる地域として多くの人々を惹きつけています。

地理と自然環境 ― 山々と平野が織りなす風景

葛城市は、大和平野の西縁に位置し、東にはなだらかな農地が広がり、西には葛城山二上山岩橋山などの山々が連なっています。特に二上山は、雄岳(517m)と雌岳(474m)の二峰からなる美しい双耳峰で、古来より人々の信仰と文学の舞台となってきました。

気候は奈良盆地特有の内陸性気候で、夏は湿度が高く蒸し暑く、冬は放射冷却によって霜が降りるほど冷え込みます。年間降水量が比較的少ないため、かつては市内各所にため池が設けられていましたが、現在は吉野川分水により安定した水供給が行われています。

主な自然要素

山:二上山、岩橋山
河川:高田川

古代から続く歴史 ― 葛城氏と信仰の中心地

葛城市一帯は、古代大和国の忍海郡および葛下郡当麻郷に属し、古墳時代には有力豪族である葛城氏の本拠地として知られていました。市内には、延喜式神名帳に記された長尾神社葛木御県神社など、格式の高い式内社が数多く残されています。

中世には旧新庄町域を拠点とした布施氏が支配しましたが、豊臣政権に与したことで滅亡。江戸時代初期には桑山氏が屋敷山に城を築きましたが、こちらも短命に終わりました。こうした歴史の積み重ねが、現在の葛城市の多層的な文化を形づくっています。

市名の由来 ― 葛城氏の名を今に伝える

葛城市の市名は、合併前の新庄町と當麻町が属していた北葛城郡に由来します。この郡名は、古墳時代にこの地を支配していた葛城氏の名にちなんだもので、地域一帯を示す広域地名として用いられてきました。

経済と産業 ― 農と暮らしを支える地域力

葛城市は基本的に農村地帯で、肥沃な土地を活かした農業が盛んです。特に二輪菊は日本有数の生産地として知られています。また、かつては農家の家内工業としてメリヤス・靴下製造が栄えましたが、現在は規模を縮小しています。

一方で、大阪府や大和高田市へのアクセスが良好なことから、ベッドタウンとしての側面も持ち、自然と都市機能が調和した暮らしやすい地域となっています。

相撲発祥の地 ― 葛城市相撲館「けはや座」

葛城市は相撲発祥の地としても知られています。約2000年前、『日本書紀』には、地元力士當麻蹶速(たいまのけはや)と出雲の豪族野見宿禰が、垂仁天皇の前で力比べを行ったと記されています。これが日本最古の天覧相撲とされ、後の国技・相撲の原点となりました。

この歴史を体感できるのが葛城市相撲館「けはや座」です。館内には本場所と同サイズの土俵が再現され、来館者は自由に土俵に上がることができます。まわし体験や展示資料を通して、相撲の奥深さと迫力を五感で味わえる、全国でも希少な体験型ミュージアムです。

當麻寺 ― 1400年の歴史を誇る古刹

葛城市を代表する寺院が當麻寺(たいまでら)です。7世紀、聖徳太子の異母弟・麻呂子王によって創建されたと伝えられ、境内には真言宗・浄土宗あわせて13の塔頭寺院が並びます。東西に対称的に建つ二塔は、當麻寺の象徴的存在です。

中将姫が織り上げたとされる国宝當麻曼荼羅をはじめ、多くの文化財を有し、奥院の浄土庭園は四季折々の花々が訪れる人を魅了します。特に春の牡丹、夏の蓮、秋の紅葉は必見です。

竹内街道 ― 日本最古の国道を歩く

竹内街道・横大路は、613年に整備された日本最古の官道で、飛鳥の都と難波津を結びました。葛城市内には当時の面影を残す区間があり、松尾芭蕉の句碑や古民家が点在しています。平成29年には日本遺産にも登録され、歴史散策やウォーキングコースとして人気を集めています。

自然と憩い ― 山と公園、四季の彩り

葛城山麓公園二上山ふるさと公園は、市民や観光客の憩いの場です。広い芝生広場や遊具、季節の花々が整備され、家族連れにも親しまれています。また、二上山や岩橋山はハイキングコースとして整備され、山頂からは奈良盆地や大阪平野を一望できます。

多彩な神社仏閣と史跡

葛城市には、長尾神社、葛木坐火雷神社(笛吹神社)、調田坐一事尼古神社、角刺神社など、由緒ある神社が数多く点在しています。また、屋敷山古墳、二塚古墳、飯豊天皇陵など、古墳時代からの史跡も豊富で、歴史ファンにはたまらない地域です。

食と買い物 ― 地元の恵みを味わう

道の駅かつらぎふたかみパーク當麻では、新鮮な地元野菜や特産品、郷土料理を楽しむことができます。さらに、梅乃宿酒造直営店では地酒やリキュール、限定スイーツも人気です。古民家を活かした飲食店やカフェも点在し、食の魅力も充実しています。

祭りと年中行事 ― 伝統が息づく時間

毎年4月14日に行われる當麻寺のお練供養は、国の重要無形民俗文化財にも指定される伝統行事で、華やかな仮装行列が人々を魅了します。また、秋にはかつらぎ花火大会が開催され、夜空を彩る花火が市民の心をつなぎます。

まとめ ― 悠久の歴史と自然に触れる旅へ

葛城市は、相撲発祥の地としての誇り、1400年の歴史を刻む寺社、最古の国道、豊かな自然と食文化が一体となった魅力あふれるまちです。ゆったりと歩き、見て、味わい、感じることで、日本の原点ともいえる時間を体験できるでしょう。歴史と自然、そして人々の営みが調和する葛城市は、訪れるたびに新たな発見を与えてくれる観光地です。

Information

名称
葛城市
(かつらぎし)

葛城・御所

奈良県