長尾神社は、奈良県葛城市に鎮座する葛下郡の総社で、旧大和国葛下郡における格式高い式内大社です。旧社格は郷社に指定され、古くから地域の人々に篤く信仰されてきました。神社の周囲には長尾の森が広がり、豊かな自然に囲まれた神聖な空間となっています。
長尾神社は『延喜式神名帳』に「葛下郡長尾神社、大、月次、新嘗」と記された古社で、少なくとも9世紀には存在していたことが確認されています。『日本三代実録』には、「貞観元年(875年)に従五位下から従五位上に昇進した」と記されており、その格式の高さがうかがえます。また、社伝によれば寛平9年(897年)から弘安4年(1281年)までに九階の進昇を経て、江戸時代には正一位にまで昇格しました。
祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)と豊受大神(とようけのおおみかみ)で、伊勢神宮の内宮と外宮の大神が祀られている点で特に注目されます。これは、長尾神社が伊勢神宮の真西に位置することから、その神聖な結びつきが深かったとされています。また、住吉、熱田、諏訪の神々も併せて祀られており、地域全体の総社としての役割を果たしてきました。
長尾神社には数多くの伝説が残されています。その一つに、「三輪山を七回り半に取り巻く大蛇が、頭を三輪明神(桜井市)、尾を長尾神社に持つ」とする説があります。この伝承から、長尾神社は大蛇の尾にあたる神社とされ、三輪明神との結びつきが深いとされています。
また、水光姫命(みひかひめのみこと)という水神が祀られており、その姿は白蛇とされています。これは、神社の東北にある「御陰井の藤」がその化身であると伝えられています。白蛇は古来より神聖な存在とされ、生命や再生、浄化の象徴とされることから、多くの信仰を集めてきました。
長尾神社の境内は広大で、参道は東西に長く伸びています。近年、新たに竣工された一の鳥居から二の鳥居を通り、拝殿に至る参道は神聖な空気に包まれています。特に二の鳥居の両脇には「なで蛙」が置かれ、安産や子宝祈願のシンボルとして親しまれています。
また、摂社として厳嶋神社があり、市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)と天児屋根命が祀られています。弁財天としても信仰され、知恵の神としての側面も持ちます。
主祭神は天照大神と豊受大神ですが、特に水光姫命(みひかひめのみこと)や白雲別命(しらくもわけのみこと)も重要な祭神とされています。水光姫命は『日本書紀』において吉野川の水神、井戸の神として記されており、白雲別命はその父神で、雲や水に関連する神とされています。
所在地:奈良県葛城市長尾471
最寄駅:近鉄南大阪線「磐城駅」から徒歩約1分、「尺土駅」から徒歩約10分。
長尾神社はその深い歴史と豊かな自然、数多くの伝承に彩られた神社であり、多くの参拝者に愛され続けています。訪れるたびに新たな発見と感動が待っていますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。