「大和まな」は奈良東部山間で栽培されていたまなの中から、昭和50年代後半に農業総合センターで系統選抜されたもので、独特のまろやかさと歯触りがあるにもかかわらず、手に入りにくいため「幻の野菜」と呼ばれた伝統野菜。奈良県内では味の良さと栽培のしやすさから農家の自家採種で自給を中心に利用されてきた。食べたら最高という理由だけで栽培され続け、見た目よりも味で受け継がれてきた野菜である。冬になり霜があたると甘みが増すため大和まなの旬は冬で、元々は青い葉物が少なくなる冬場の野菜として親しまれてきた。一方で、収穫して2日後には葉が黄変してしまって日持ちしない、形が不ぞろいになる、周年栽培が難しく収穫が冬場に限られるという性質が大規模な流通には不向きであったため、奈良県内でも大和まなを知らない人は多かった。2005年に「大和の伝統野菜」として「大和野菜」に認定されたため認知度が上がったことに加え、品種改良が進み、周年栽培により一年中入手可能になり、出荷から店頭陳列まで全て保冷できるコールドチェーンも行えるようになったので、栽培や出荷がしやすくなり、特産化の取り組みが広がっている。
奈良では、「大和まな」などの葉菜類は、相性の良い薄揚げと醤油味で炊くことが多い。青い色を残してサッと煮あげると、シャキシャキ感が残り、大和まなの甘みが口の中に広がる。大和まなと薄揚げの煮ものは、奈良県の郷土料理「奈良のうまいもの」として選定されている。