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わらびもち(奈良県)

(蕨餅 ならけん)

古く足利時代から食べられるわらび粉を使って作る和菓子

奈良はわらびもちの原料であるわらび粉の名産地。わらびの根のでんぷんから作るわらび粉を、湯で練り餅状にして食べるわらびもちは、古くは足利時代から奈良名物として広く好まれてきた。本来はわらびの季節である春の和菓子とされていたものが、 現在では涼しげなお菓子として、夏にはなくてはならないおやつとなっている。 独特の弾力と食感で、口に入れると、ぷるぷると弾むようで、トロリととろける柔らかさ。他にはない独特の食感の良さが、多くの人に愛されている。

「蕨餅」は、蕨粉に水や砂糖を加えて加熱しながら混ぜ、冷やして固めた和菓子です。特に奈良は蕨粉の名産地であり、そのため「蕨餅」は奈良の名物として知られています。

蕨粉は、ワラビの根に含まれるデンプンから作られており、製造に手間がかかり、取れる量も非常に少ないため、希少価値の高い食材です。そのため、市販の「蕨餅」は、さつまいもやタピオカ、葛などから取れるデンプンを使用して作られることが一般的です。

昔、若草山の鶯塚古墳から出る妖怪を追い払うために山を焼くという迷信がありました。この迷信から、人々が若草山を放火するようになり、東大寺境内や近隣の寺にも火が及び、危険が絶えませんでした。そこで、若草山に隣接する東大寺、興福寺、奈良奉行所が立ち会って山を焼くようになりました。その後、山焼き後にたくさんワラビが生え、奈良公園の鹿が食べなかったことから、ワラビが群生し、蕨粉の産地となりました。これが、古都奈良に早春を告げる伝統行事である「若草山焼き」の始まりです。

食べる機会と時季

「蕨餅」は、年間を通して主におやつとして食べられますが、特に春から夏にかけてよく食べられます。宝永6年(1709年)の東大寺大仏殿の落慶法要に参詣した人の記録「寧楽土産」には、「八幡前には蕨餅の茶屋あまた立てにけり」との記述があり、その頃から「蕨餅」が名物として親しまれていたことがわかります。

作り方

蕨粉、砂糖、水などを鍋に入れて火をつけます。焦がさないように混ぜ続け、半透明になるまで加熱します。その後、弱火にして混ぜ、透明になったら2分ほど練り混ぜます。器に盛り付け、きな粉や黒蜜をかけてお召し上がりください。

主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:本蕨粉、砂糖、水

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名称
わらびもち(奈良県)
(蕨餅 ならけん)

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