平城宮跡歴史公園は、奈良時代の都・平城京の中枢であった平城宮の跡地を保存・整備した、日本を代表する歴史公園です。和銅3年(710年)、藤原京からの遷都により平城京が誕生し、その政治・儀式・行政の中心として築かれたのが平城宮でした。現在は国の特別史跡であり、1998年には世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産として登録されています。
東西約1.3km、南北約1km、総面積およそ120ヘクタールに及ぶ広大な敷地は、奈良時代の宮殿規模を今に伝え、発掘調査と復原整備を通じて、1300年前の都の姿を体感できる貴重な空間となっています。
平城宮は、天皇の居住空間である内裏、国家儀式を行う朝堂院、政務を担う役所群である官衙から構成される律令国家の象徴的存在でした。朱雀門から北へ延びる朱雀大路は、都の大動脈として政治と文化の中心を貫いていました。
しかし、784年に都が長岡京へ遷されると平城宮は次第に役割を失い、やがて田畑へと姿を変えていきます。明治以降の研究と保存運動、戦後の大規模発掘調査によってその全貌が明らかとなり、現在のような歴史公園として整備されました。
平城宮跡歴史公園は、大きく南側の朱雀門ひろばエリア、中央部の第一次大極殿エリア、東側の官衙・東院庭園エリア、西側の自然・研究施設エリアに分かれています。それぞれが異なる魅力を持ち、訪れる人に多角的な歴史体験を提供しています。
南側の朱雀門ひろばは、平城宮跡歴史公園の正面玄関として2018年に整備された観光拠点です。平城宮の正門であった朱雀門を間近に望み、奈良時代への入口として多くの来園者を迎えています。
朱雀門は、平城宮の正門として都を訪れる人々を迎えた重要な建築です。現在の門は1998年に木造で復原され、間口約25m、高さ約20mの堂々たる姿を誇ります。朱雀大路の終点に位置し、当時の都の壮大さを実感できる象徴的存在です。
平城宮いざない館は、公園全体のガイダンス施設として、平城宮の歴史や発掘成果、当時の暮らしを映像・模型・出土品で分かりやすく紹介しています。初めて訪れる方が全体像を理解するのに最適な場所です。
朱雀門ひろばには、飲食施設や休憩所、展望施設が集約されています。天平うまし館では奈良の食文化を楽しめ、天平みつき館では観光案内や土産物が充実しています。天平みはらし館の展望デッキからは、平城宮跡の広大な景観を一望できます。
公園中央部に位置する第一次大極殿は、平城宮最大の建築で、天皇の即位式や外国使節の拝謁など、国家の最重要儀式が行われた場所です。2010年に木造復原され、朱塗りの柱と壮麗な屋根が奈良時代の威厳を今に伝えています。
大極門は第一次大極殿院の正門として2022年に復原されました。築地回廊に囲まれた空間は、儀式の厳粛さを体感できる重要な構成要素です。
東側エリアには、政務を担った官庁跡や、宮廷の宴遊空間であった東院庭園が広がります。特に東院庭園は国の特別名勝に指定され、日本庭園の原型ともいわれる優美な景観が復原されています。
遺構展示館では、発掘された遺構をその場で公開し、奈良時代の建築技術を体感できます。平城宮跡資料館では、土器や瓦、木簡などの出土品を通じて、都の暮らしや行政の仕組みを学ぶことができます。
平城宮跡歴史公園は、歴史遺産であると同時に豊かな自然空間でもあります。春には桜が咲き誇り、夏には5万羽を超えるツバメのねぐら入りが見られます。秋にはオギの穂が黄金色に輝き、冬には遮るもののない星空が広がります。
平城宮跡歴史公園は、単なる史跡ではなく、発掘調査・復原・展示・自然が融合した生きた歴史空間です。何度訪れても新たな発見があり、奈良時代の国家と人々の営みを深く感じることができます。日本の古代史に触れたい方はもちろん、ゆったりと散策を楽しみたい方にもおすすめの観光スポットです。
9:00~17:00
2月・4月・7月・11月の第2月曜日(祝日の場合は翌日)
12/29~1/1
無料
近鉄大和西大寺駅から徒歩で10分