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春日大社

(かすがたいしゃ)

古の奈良に始まる鮮やかな朱塗りの社殿の古社

春日大社は、奈良県奈良市春日野町に鎮座する、日本を代表する神社の一つです。全国に約3,000社ある春日神社の総本社であり、その格式と歴史から非常に高い尊敬を集めています。神社本庁に属する別表神社であり、旧社格は官幣大社に分類されていました。

また、春日大社は「春日社」とも呼ばれ、神紋には「下がり藤」が用いられています。さらに、ユネスコの世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の一つとしても登録されています。

創建の由来と神話

神護景雲2年(768年)の創建

春日大社の創建は、奈良時代の神護景雲2年(768年)に遡ります。当時、都であった平城京の守護と国の安寧、民の繁栄を祈願し、藤原永手によって創建されました。御祭神は、藤原氏の氏神として信仰されていた神々であり、そのうちの武甕槌命(たけみかづちのみこと)白鹿に乗って春日の御蓋山に降臨したという神話にちなみ、春日大社では鹿を神の使い「神鹿」として大切にしています。

四柱の御祭神

春日大社の主祭神は、以下の四柱の神々です。

第一殿:武甕槌命(たけみかづちのみこと)

常陸国鹿島神宮の神であり、藤原氏の守護神とされます。

第二殿:経津主命(ふつぬしのみこと)

下総国香取神宮の神で、武甕槌命とともに国土平定を司る神です。

第三殿:天児屋根命(あめのこやねのみこと)

河内国平岡の神で、藤原氏の祖神とされています。

第四殿:比売神(ひめがみ)

天児屋根命の妻神とされますが、天照大御神とする説も存在します。

神社の歴史と藤原氏の関わり

藤原氏と春日大社

春日大社の発展は、藤原氏の隆盛と密接に関係しています。特に平安時代初期には朝廷の保護を受け、官祭(かんさい)が行われるようになりました。春日大社の例祭である春日祭は、京都の葵祭や石清水祭と並び、三勅祭の一つに数えられる格式高い祭典です。

また、嘉祥3年(850年)には武甕槌命・経津主命が、天慶3年(940年)には天児屋根命が、それぞれ朝廷から神階最高位「正一位」を授けられました。

藤鳥居と和歌

春日大社の境内には「藤鳥居」と呼ばれる特別な鳥居が存在し、かつては藤原氏の人間しか通れないという格式がありました。この鳥居は後醍醐天皇が中宮・珣子内親王に贈った和歌にも詠まれており、文学的な側面でも春日大社の歴史に彩りを添えています。

神仏習合の時代

興福寺との深い関係

春日大社は、藤原氏の氏寺である興福寺と深い関係を持っていました。平安時代の弘仁4年(813年)、藤原冬嗣が興福寺に南円堂を建立した際、その本尊である不空羂索観音は、春日社の第一殿・武甕槌命の本地仏とされました。これは、日本における神仏習合の代表例の一つです。

神前読経と寺院の支援

947年(天暦元年)からは、春日大社の神前での読経が始まりました。さらに、1100年(康和2年)には白河法皇によって一切経蔵が春日大社に寄進され、読経のための経費として越前国坂井郡の荘園が興福寺に与えられました。なお、当時の僧侶たちは、本殿(内院)には立ち入ることは許されませんでした

神木動座と興福寺衆徒の強訴

11世紀末以降、興福寺の僧兵らによる強訴(抗議活動)が活発化し、その象徴的な行為として神木動座(しんぼくどうざ)が行われました。これは、春日社の神霊を移した榊の木を掲げて都に向かうというもので、神威を示す行為とされました。

このような背景から、春日大社と興福寺は次第に一体の存在とみなされ、「春日興福寺」と称されることもありました。

春日大社の文化的価値

本地仏の体系

神仏習合が進む中で、春日大社の四柱の神々にはそれぞれ本地仏が当てられるようになりました。

こうした信仰形態は、日本の中世宗教史を理解する上で貴重な資料となっています。

本殿と参拝

春日大社の本殿は、神社建築様式のひとつである春日造で建てられており、4棟が並ぶ壮麗な姿を見せています。通常の参拝者は拝殿を通らず、幣殿からの拝観となりますが、初穂料を納めて特別参拝を申し込んだ方は、中門から本殿前まで進み、より近くで参拝することができます。

本殿の各殿

また、第一殿と第二殿の間には古代信仰の名残とされる磐座が残されており、神域としての厳粛さを感じさせます。

中門とその他の主要施設

本殿の正面に位置する中門(重要文化財)は、楼門の形式を持ち、慶長18年(1613年)に再建されたものです。現在見られる唐破風は、明治時代に取り付けられたものです。中門の内部には、手力雄神社飛来天神社の参拝所が設けられています。

各御廊と燈籠

春日大社の境内では、多数の奉納された燈籠が参拝者の目を引きます。西御廊、東御廊、北御廊(いずれも重要文化財)は、慶長18年(1613年)に再建されたもので、釣燈籠がずらりと並ぶ様子は圧巻です。万燈籠の行事の際には、約2,000基の石燈籠と合わせてすべてに明かりが灯され、幻想的な世界が広がります。

貴重な文化財と建造物

その他にも境内には多くの歴史ある建物が残されています。

回廊と門

本殿を囲むように配された回廊群や門も見どころの一つです。

自然との調和

春日大社では、建物と自然が美しく調和しています。林檎の庭には、高倉天皇が植えたと伝えられる林檎の木が佇んでおり、社頭の大杉は樹齢1,000年を数える巨大な杉で、その根元から生えた柏槙(びゃくしん)は屋根を突き抜けて伸びています。

その他の見どころ

おわりに

春日大社は、奈良の歴史、藤原氏の権勢、そして神仏習合の文化を今に伝える貴重な遺産です。四柱の御祭神を祀る荘厳な社殿、神使として大切にされている鹿、興福寺との深い結びつき、そして文学や和歌に詠まれる文化的背景は、訪れる人々に深い感銘を与えます。奈良を訪れる際には、ぜひ一度春日大社を訪れ、その歴史と神聖さを肌で感じていただきたいものです。

Information

名称
春日大社
(かすがたいしゃ)
リンク
公式サイト
住所
奈良県奈良市春日野町160
電話番号
0742-22-7788
営業時間

拝観時間
4月~10月 6:30~17:30
11月~3月 7:00~16:30

定休日

年中無休

料金

本殿の特別参拝:初穂料【備考】500円 *本殿の特別参拝 / 【その他】 *萬葉植物園(神苑)〔大人500円 小・中学生250円〕  宝物殿〔大人400円 中高生300円 小学生200円〕

駐車場
有料
アクセス

JR・近鉄奈良駅から徒歩約25分

JR・近鉄奈良駅からバスで10分 春日大社本殿行 → 春日大社本殿下車すぐ

JR・近鉄奈良駅からバスで8分 市内循環バス → 春日大社表参道下車から徒歩で10分

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