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猿沢池

(さるさわいけ)

奈良公園に佇む歴史ある美景の池

猿沢池は、奈良県奈良市の中心部に位置する奈良公園内にある周囲約360メートルの美しい池です。その水面には、周囲に立ち並ぶ柳とともに、歴史ある興福寺五重塔が映し出され、まさに絵画のような光景が広がっています。この幻想的な景観は、「南都八景」のひとつ「猿沢池月」としても名高く、多くの観光客や写真愛好家に親しまれています。北側には奈良県景観資産に指定されている五十二段と呼ばれる石段と興福寺五重塔、すべり坂があります。

猿沢池の概要

人工の放生池としてのはじまり

この池は、天平21年(749年)、興福寺が行う仏教儀式「放生会(ほうじょうえ)」のために造られた人工池です。放生会とは、捕らえられた魚や鳥などの生き物を自然に返すことで命の尊さを再認識し、万物に感謝する行事です。

市民に親しまれる憩いの場

猿沢池の北側には「三条通り」が東西に走っており、JR奈良駅から春日大社へと通じています。また、近鉄奈良駅からは「東向商店街」というアーケード街が通じており、観光にとても便利な場所です。猿沢池の北には、五十二段と呼ばれる石段があり、興福寺五重塔とともに、素晴らしい眺望を楽しむことができます。この景観は「奈良県景観資産」にも指定されており、訪れる人々の心を和ませています。

池周辺は「猿沢池園地」として整備されており、観光客だけでなく、市民の憩いの場としても利用されています。2017年には、京都の川床文化にヒントを得て、期間限定で「池床」が設けられるという新しい試みも行われました。

猿沢池の七不思議

不思議な自然現象の伝承

猿沢池には、古くから語り継がれる「七不思議」があります。それぞれに深い意味があり、池の神秘性を物語っています。

猿沢池 七不思議

実際には、上流・下流ともに暗渠(あんきょ)と呼ばれる地下水路によって水が出入りしているとされます。しかし、池に蛙がいない理由や藻が生えない点など、科学的に完全に説明できない点もあり、今なお多くの人々を惹きつける要因となっています。

なお、近年はアオコ(藍藻類)の発生が深刻化しており、水面が緑色になる現象に対して関係者が対応を模索しています。

伝説と文化

采女伝説と采女祭

猿沢池には数多くの伝説が存在します。特に有名なのが、「采女伝説」です。これは、帝の寵愛が薄れたことを嘆いた采女(うねめ)が、この池に身を投げたという悲しい物語です。その霊を慰めるために建立されたのが、池のほとりにある「采女神社」です。

また、彼女の霊を慰めるために行われるのが「采女祭」で、毎年多くの参拝者が訪れます。この祭りは、幻想的な灯りと雅な行列で池を囲み、古都奈良の静けさに響く厳かな儀式となっています。

その他の伝説

文豪・芥川龍之介の小説『龍』は、猿沢池から雲を呼び、雨を降らせながら龍が天へ昇ったという伝説に基づいています。また、池の名前の由来は、インド・ヴァイシャーリー国の「獼猴池(びこういけ)」にあるとされ、仏教的な背景も色濃く残っています。

さらに、奈良県大淀町にある「おいの池」には、興福寺の僧に恋をした娘が身を投げたという言い伝えがあり、猿沢池と地下でつながっているという伝承もあります。実際に「おいのの笠」が猿沢池に浮かんでいたという話も語り継がれています。

興福寺五重塔と猿沢池の関係

猿沢池の北側には、興福寺五重塔がそびえ立っています。現在の塔は、応永33年(1426年)に再建されたもので、高さは50.1メートルにおよび、日本で二番目に高い木造の塔とされています。国宝にも指定されており、奈良のシンボルとして人々に親しまれています。

まとめ

猿沢池は、奈良公園内にある歴史と文化が息づく場所です。その水面に映る興福寺五重塔と柳の景観はまさに絶景であり、多くの伝説や文化、宗教的意義をも併せ持つ貴重な存在です。七不思議や采女伝説など、古都ならではの物語も多く、訪れる人々にさまざまな感慨をもたらします。奈良を訪れる際には、ぜひ一度足を運び、その静寂と美しさを肌で感じてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
猿沢池
(さるさわいけ)
リンク
公式サイト
住所
奈良県奈良市橋本町
電話番号
0742-22-0375
駐車場
なし
アクセス

近鉄奈良駅から徒歩で5分

JR奈良駅から徒歩約15分

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