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奈良女子大学記念館

(なら じょし だいがく きねんかん)

歴史と文化を伝える建築遺産

奈良女子大学記念館は、奈良県奈良市にある奈良女子大学の象徴的建築で、1909年(明治42年)に竣工した旧本館および守衛室(附 正門)が国の重要文化財に指定されています。創建当初は奈良女子高等師範学校の本館として、大学本部と講堂の役割を担い、学問と教育の場として長い歴史を刻んできました。

記念館の歴史

奈良女子高等師範学校は、明治41年(1908年)3月に設置され、記念館の建設は同年2月に着工されました。翌年10月に竣工し、創設当初から一階は事務室、二階は講堂として使用されました。昭和24年(1949年)に国立奈良女子大学として再編された後も、大学本部と講堂として活用され続けました。

しかし、昭和55年(1980年)に本部管理棟が、昭和58年(1983年)に講堂が別に新築されたことに伴い、平成2年(1990年)に「奈良女子大学記念館」と名称を改め、建物として保存されることとなりました。さらに平成6年(1994年)には改修工事が行われ、守衛室(附 正門)とともに国の重要文化財に指定されました。

現在、一階は展示室として活用され、二階は講堂として学内活動に使用されるほか、春と秋の期間限定で一般公開も行われています。キャンパスを彩る四季折々の自然、桜や紅葉、鹿との調和の中で、記念館の美しい外観は訪れる人々を魅了します。

百年ピアノ ― 歴史を奏でる宝物

記念館には、創設当初から所蔵されていた貴重な国産ピアノ、「百年ピアノ」が設置されています。このピアノは1909年の授業開始時に購入され、戦後長く倉庫に眠っていましたが、2003年に学内で発見され、修復作業を経て2005年に記念館に展示され、演奏可能な状態で公開されています。百年を経た音色は、当時の教育現場や文化の香りを現代に伝えます。

建築の特徴

記念館の建築は、明治期に日本で導入された西洋建築の要素を巧みに取り入れつつ、和風の落ち着きを感じさせるデザインが特徴です。屋根の中央には頂塔(ランタン)が設けられ、正面の軒先中央は三角形に一段上がるなど、屋根の形状に変化をもたせています。また、壁面はハーフティンバー構造を採用し、外部木部が美しい装飾模様として見えるよう設計されています。

外壁は二階の腰まで板壁とし、上部は漆喰壁で構成。板張りの方向や模様を変化させ、窓枠には曲線状の装飾を施すなど、細部にまで配慮が行き届いています。平面構成は、一階が中央玄関からの中廊下をはさんで大小7室が並ぶ設計で、南面には旧事務局長室の増築が見られます。

二階の講堂は広く開放的で、中央部は天井を折り上げ、シャンデリアを吊り下げるなど、当初からの長椅子も残り、歴史的な雰囲気を体感できます。屋根を支える木造トラスは中間に柱がなく、約16メートルの長さにわたり堂々とした構造を保っています。

大学としての歩みと社会的役割

奈良女子大学(Nara Women's University)は、1908年(明治41年)に設立された奈良女子高等師範学校を前身とし、1949年(昭和24年)に国立大学として発足しました。現在も日本における国立女子大学の一つとして、女子教育の先駆的存在であり、多くの優秀な人材を輩出してきました。

記念館は、大学の象徴としての役割に加え、地域文化の発信拠点としても重要です。外観の写真撮影や写生に訪れる人も多く、学術的・文化的価値を兼ね備えた建物として、奈良市の文化財として広く認知されています。

見学と一般公開

記念館は学内での活動に使用される一方で、春と秋には期間限定で一般公開されます。展示室では大学の歴史資料や百年ピアノの展示が行われ、講堂では当時の建築美や空間の広がりを感じることができます。また、春の桜や秋の紅葉といった自然との調和も訪問者に人気です。

まとめ

奈良女子大学記念館は、明治期の教育建築としての歴史的価値、貴重なピアノや内装、講堂の構造など、学術・文化・建築の三つの視点で評価される重要文化財です。大学の象徴としての存在感を保ちながら、地域社会や来訪者に対して教育文化の豊かさを伝え続けています。

Information

名称
奈良女子大学記念館
(なら じょし だいがく きねんかん)

奈良市・生駒市

奈良県