奈良県生駒市の高山町に位置する高山竹林園は、竹の持つ魅力と日本の伝統文化を深く体験できる市営公園です。この地は、茶筌(ちゃせん)をはじめとする竹製の茶道具の一大産地であり、その技と精神を伝える施設として1989年(平成元年)に開園されました。四季折々の自然とともに、伝統工芸や茶道の世界を身近に感じることができる文化的スポットとして、多くの来園者を魅了しています。
高山竹林園は、竹製品の伝統と技術を紹介する資料館を中核とし、竹にまつわる多彩な施設を備えています。資料館には、展示室に加え、茶筌制作の実演コーナーや研修室も併設されており、見て学び、体験できる構成が魅力です。
園内には、品種豊富な竹を観察できる竹の生態園、日本庭園、趣ある茶室「竹生庵(ちくしょうあん)」などが点在し、訪れる人々に癒しと学びのひとときを提供します。また、多目的広場やゲートボール場など、市民が憩うスペースも充実しています。
毎年10月には、地域と竹の魅力を融合させた幻想的なイベント「高山 竹あかり」が開催されます。竹を用いたアート作品にろうそくの灯を灯すこの行事は、多くの来場者に幻想的な風景を届け、竹の持つ温かみや美しさを再認識させてくれると好評です。21回目を迎えた2017年には、奈良県立大学の学生もイベント広報に参加し、若い世代との連携も進められました。
高山町は、経済産業大臣指定の伝統的工芸品「高山茶筌」の産地として知られており、国内シェアの90%以上を誇ります。その起源は室町時代中期にさかのぼり、当地の領主・鷹山氏の出身であった宗砌(そうぜい)によって茶筌が考案されたと伝えられています。技術は代々一子相伝で受け継がれ、地域に深く根付いてきました。
高山町では茶筌だけでなく、茶杓(ちゃしゃく)や花器などの茶道具も盛んに製造されています。明治時代以降は、伸子針(しんしばり)や手芸針などの竹製編み針も加わり、竹を活用した産業が地域の文化と経済を支えてきました。こうした背景から、高山竹林園は竹工芸のPRと文化振興を目的に設置されたのです。
開園時間:午前9時~午後5時
休園日:年末年始(12月27日~1月5日)
運営:奈良県高山茶筌生産協同組合(指定管理者)
高山竹林園へのアクセスは公共交通機関が便利です。近鉄奈良線「富雄駅」から、または近鉄けいはんな線「学研北生駒駅」から奈良交通のバスを利用し、いずれも「上大北(かみおぎた)」停留所で下車後、徒歩約5分の距離です。
茶道に用いられる道具には多くの種類があり、茶碗・茶筅・茶杓・柄杓・水指・風炉・建水・香合・花入・掛け軸などが代表的です。これらは、季節や茶会の趣旨によって選ばれ、空間演出においても重要な役割を果たします。
なかでも茶筅(ちゃせん)は、抹茶を点てるために欠かせない竹製の道具です。細かく裂いた竹をカーブさせ、泡を立てるために使用されるこの道具は、高山町の職人たちによって一つ一つ手作りされています。穂の数や竹の種類、流派によっても形状はさまざまです。
高山竹林園は、竹という日本古来の素材を通じて、伝統文化・自然・地域の産業が融合した、まさに“学びと癒し”の空間です。茶道具や竹細工に関心がある方はもちろん、四季折々の風景やイベントを楽しみたい方にもおすすめのスポットです。ぜひ、生駒市を訪れた際には足を運び、竹の温もりと職人の技に触れてみてください。