東吉野村は、奈良県東部、三重県との県境に位置する山あいの村です。台高山脈の北辺、高見山の西側に広がり、村の大部分を豊かな森林が占めています。澄みきった清流と深い緑、そして四季折々に表情を変える山々に囲まれた風景は、訪れる人の心を静かに癒してくれます。
古くから伊勢街道を中心に発展してきた歴史を持ち、山里ならではの素朴な暮らしと、由緒ある神社仏閣、維新の歴史を伝える史跡など、多彩な魅力を今に伝えています。
村は標高差に富み、四郷川や高見川などの清流が山々を縫うように流れています。春は山桜やしだれ桜が咲き誇り、夏は川遊びや蛍が楽しめ、秋には山全体が紅葉に染まり、冬には霧氷や樹氷が幻想的な世界を創り出します。
とりわけ高見山(標高1,249m)は「関西のマッターホルン」と称される秀麗な山容で知られ、冬季に見られる霧氷は圧巻です。白銀に輝く木々は、まるで神の光を宿したかのような神秘的な美しさを放ちます。
東吉野村を代表する歴史的名所が、丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)中社です。白鳳4年(675年)、天武天皇の御神教により創建されたと伝わる古社で、御祭神は水を司る神・罔象女神(みづはのめのかみ)。古来より祈雨・止雨の神として朝廷の篤い崇敬を受けてきました。
境内には鎌倉時代建立の石燈籠があり、国の重要文化財に指定されています。また、樹齢千年を超える「叶えの大杉」や「相生の杉」など、自然と信仰が融合した神聖な空気に包まれています。秋には勇壮な「小川祭り(太鼓台奉舁安全祈願祭)」が行われ、境内は熱気に満ちあふれます。
東吉野村を象徴する自然景観が、七滝八壺(ななたきやつぼ)です。七つの滝と壺が連なる段瀑で、「七転び八起き」にちなみ命名されました。清冽な水が杉林の間を流れ落ちる様子は、訪れる人々を魅了します。
環境省の「平成の名水百選」に選定され、さらに日本遺産にも認定されるなど、その価値は全国的に高く評価されています。
東吉野村は、幕末の志士たちが決起した天誅組大和挙兵終焉の地でもあります。志半ばで倒れた若き志士たちは、村人の手によって丁重に葬られました。現在も慰霊碑や墓所が残り、明治維新へと続く激動の歴史を静かに物語っています。
明治38年(1905年)、東吉野村鷲家口で捕獲された個体が、日本で最後に確認されたニホンオオカミとされています。現在、その標本は大英博物館に保管されています。村内にはその姿を伝える像が建立され、絶滅した日本固有種への思いを今に伝えています。
四郷川沿いに広がる自然体験施設。クラシックな校舎を活用したビジターセンターや宿泊施設「ふるさと会館」、川辺のテントサイトなどが整備され、キャンプや研修、川遊びが楽しめます。併設のやはた温泉では天然温泉に浸かり、心身を癒すことができます。
木の香り豊かな槇風呂や檜風呂、露天岩風呂が人気の温泉施設です。森を渡る風や鳥の声を感じながら、ゆったりとした時間を過ごせます。周辺には句碑や歌碑が点在し、俳句文化を伝える「たかすみ文庫」もあります。
標高約650mの丘に広がる、約1,000本のしだれ桜の庭園。春には山々を背景に、淡紅色の花霞が広がる壮観な景色を楽しめます。
山林の中でアウトドアを満喫できるキャンプ場や、山菜採りやバンガロー宿泊が楽しめる施設も充実しています。森林浴や星空観察など、自然との一体感を味わえるのが魅力です。
東吉野村は古くから林業が盛んであり、現在でも吉野中央森林組合が拠点を構えています。また、木工業も発展しており、職人の技が光る製品が数多く生み出されています。
特産品には、素麺や吉野本葛を加えた手延べうどん「たあめん」、柚子製品、朴の葉寿司、よもぎ餅、山菜、そして清流で育まれる鮎、アマゴ、ウナギなどなど、山里の恵みが揃います。これらの食材を使った郷土料理は、訪れる人々の舌を楽しませてくれます。
「小さな道の駅 ひよしのさと」では、地元野菜や加工品、焼きたてパンなどが販売され、旅の立ち寄りスポットとして親しまれています。
高さ約15m。水煙をあげて流れ落ちる姿が力強く、滝壺近くには不動明王が祀られています。
大又渓谷にある滝。魚が登れないことからその名が付きました。紅葉の名所としても知られています。
日裏谷が高見川に注ぐ地点にある神秘的な滝。深い滝壺と岩壁が幻想的な雰囲気を醸し出します。
高さ約35m。岩肌を伝って流れ落ちる豪快な姿と周囲の桧林が見事な景観を形成しています。
東吉野ふるさと村周辺を流れる清流。川遊びや水辺散策に最適です。
村を代表する清流。鮎釣りの名所としても知られています。
国の天然記念物。冬に赤く実る姿が美しい希少植物です。
「関西のマッターホルン」と呼ばれる名峰。冬の霧氷が特に有名です。
雄大な山容を誇り、新緑・紅葉・樹氷と四季折々に絶景を楽しめます。
かつてのスキー場跡地。現在はキャンプや登山拠点として親しまれています。
急峻な岩稜と自然林が広がる山域。登山愛好家に人気です。
三重県松阪市に属する桧塚奥峰への主要登山口。東吉野村側からアクセスできます。
奈良県指定重要文化財の木造如来坐像を安置。樹齢千五百年の岩松群生も見どころです。
国の重要文化財・木造薬師如来坐像を所蔵しています。
地域信仰の拠点となっている歴史ある堂宇です。
山城跡。かつての戦国期の歴史を今に伝えます。
神武天皇ゆかりの祭祀伝承地とされる神聖な場所です。
かつて伊勢参りの人々が往来した歴史街道。石の道標が今も残ります。
幕末の志士たちの最期の地。維新史を語る重要な史跡です。
山村の暮らしや林業文化を紹介する資料館です。
地域の水資源を活用した発電施設。近代産業遺産的側面も持ちます。
宿泊・キャンプ・川遊びが楽しめる総合自然体験施設。
ナトリウム炭酸水素塩泉の天然温泉。岩風呂と檜風呂が人気です。
槇風呂・檜風呂・露天岩風呂を備えた癒しの温泉施設。
句碑や文化施設が点在する情緒豊かなエリア。
山林に囲まれたキャンプ場。鮎釣りや森林浴が楽しめます。
自然体験や団体利用にも適したキャンプ施設です。
天然わらび園とバンガローを備えた体験型施設。
約1,000本のしだれ桜が咲く春の絶景スポット。
樹齢を重ねたエドヒガン系の見事なしだれ桜。
県指定天然記念物。秋に芳香を放ちます。
初夏にはゲンジボタルが幻想的な光を放ちます。
地元野菜・柚子製品・加工品・パンなどを販売。
柚子製品など特産品の製造拠点。
杵つきよもぎ餅やよもぎタルトなどの手づくり和菓子。
吉野材を活かした木工製品や一枚板家具の工房。
東吉野村は、深い森と清流、由緒ある神社、維新の歴史、そして温かな人々の営みが息づく場所です。四季を通じて自然の美しさに触れ、歴史と文化を感じ、温泉や郷土料理で心身を癒すことができます。
都会の喧騒を離れ、ゆったりと流れる時間の中で、本来の自分を取り戻す旅へ。東吉野村は、訪れる人をやさしく迎えてくれる「心のふるさと」です。