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龍泉寺(野見観音)

(りゅうせんじ)

岩松の寺として知られる東吉野の名刹

奈良県東吉野村鷲家に佇む龍泉寺は、豊かな自然に囲まれた禅寺であり、「岩松の寺」として広く知られています。広い境内には、奈良県指定重要文化財の木造如来坐像をはじめ、首から上の病にご利益があると伝わる野見観音、幕末の志士ゆかりの史跡、そして樹齢千五百年を誇る岩松群生など、歴史と信仰を今に伝える見どころが点在しています。

また、四季折々の花々が境内を彩ることから「花の寺」としても親しまれ、春夏秋冬それぞれに異なる趣を楽しむことができます。

奈良県指定重要文化財 木造如来坐像

龍泉寺を代表する文化財が、奈良県指定重要文化財である木造如来坐像です。像高は約43.6センチメートルと小ぶりながら、平安初期の様式を色濃く伝える格調高い仏像です。右手は施無畏印、左手は挙印を結び、結跏趺坐する姿は量感に富み、巧みな刀法によって端正に彫り上げられています。

寺伝では釈迦如来とされていますが、その像容から金剛界五仏の一尊である不空成就如来とする説もあります。榧(かや)の一木から彫り出され、足部には別材を加え、漆箔で仕上げられています。この貴重な仏像は、鉄骨瓦葺きの慈光殿に安置されています。

慈光殿の格天井には花の絵が描かれ、通気性にも配慮された造りとなっており、文化財を大切に守り伝える工夫がなされています。

野見観音と天誅組ゆかりの寺

境内に祀られる野見観音は、特に首から上の病にご利益があると信仰を集めています。地域の人々はもとより、遠方からも多くの参拝者が訪れ、静かな祈りの場となっています。

また龍泉寺は、幕末に尊王攘夷を掲げて挙兵した天誅組の志士たちの菩提寺でもあり、境内には志士の遺詠も伝えられています。歴史の転換期に生きた人々の思いを感じることができる、貴重な史跡でもあります。

樹齢千五百年の岩松群生と豊かな自然

境内には、樹齢約千五百年と伝わる岩松の群生が見られ、悠久の時を刻んできた自然の力強さを感じさせます。裏手の森は寺の自然林として奈良県の天然記念物に指定されており、吉野の豊かな自然環境が守られています。

広々とした境内をゆったりと歩けば、歴史・文化・自然が調和した空間の中で、心静かなひとときを過ごすことができるでしょう。

大峯山信仰と龍泉寺の由来

なお、同名の龍泉寺は大峯山の登山口・洞川にもあり、修験道の祖とされる役行者が開いたと伝わる由緒ある寺院です。役行者が湧き出る泉を「龍の口」と名付け、そのほとりに堂を建て八大龍王を祀ったことが起源とされています。

東吉野の龍泉寺もまた、山深い地に根ざした信仰と歴史を今に伝える寺院です。自然と文化財、そして人々の祈りが静かに息づくこの場所で、心穏やかな時間をお過ごしになってみてはいかがでしょうか。

Information

名称
龍泉寺(野見観音)
(りゅうせんじ)

吉野・天川村・十津川

奈良県