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高見山

(たかみさん)

高見山は、奈良県吉野郡東吉野村と三重県松阪市(旧飯南郡飯高町)の境界に位置し、台高山脈の北端にそびえる標高1,248.9メートルの美しい山です。その端正な山容から、地元では「関西のマッターホルン」と称され、多くの登山愛好家や自然を楽しむ人々に親しまれています。

地理的な特徴と自然環境

高見山は、奈良県側の紀ノ川水系である高見川(平野川・杉谷川)と、三重県側を流れる櫛田川の源流域に位置しており、両県にとって重要な水源地の一つです。この山の周辺には日本列島を縦断する大断層、中央構造線が通っており、地質学的にも非常に注目されています。

かつてこの山は「高角山」や「高水山」とも呼ばれており、その歴史は古代から語り継がれています。特に西側の木津峠方面から見た際の美しい円錐形の姿は、見る者に強い印象を与えるものであり、まさに「マッターホルン」の異名にふさわしい存在感です。

四季折々の魅力

高見山は一年を通じて豊かな自然の変化を楽しめる名山です。春には白く可憐なアセビや香り高いコアジサイが咲き誇り、夏には爽やかな緑のブナ林が広がります。秋には山全体が紅葉で赤や黄に染まり、登山道を彩る様は見事の一言です。

冬の霧氷が創り出す幻想的な風景

特に冬季に見られる霧氷は、高見山の最大の魅力とも言えるでしょう。冷え込んだ朝、ブナ林の枝々に霧氷がつき、まるで白銀の世界が広がるような幻想的な光景が山頂に現れます。このため、冬の高見山は写真愛好家にも大変人気があり、「霧氷を撮るために登る」という方も少なくありません。

登山ルートとアクセス

高見山大峠からの最短ルート

高見山へ登る際の代表的なルートの一つが、高見峠(大峠)に設けられた高見山大峠駐車場からのルートです。ここからは奈良県と三重県の県境に沿って整備されたジグザグの登山道を登ることができます。道中は整備されており、初心者でも比較的安心して登れるコースとして知られています。

西側・小峠ルートと名所

一方で、西側の小峠ルートでは、道中に「笛吹岩」や「ゆるぎ岩」など、名前のつけられた興味深い露岩が点在し、登山の楽しみを一層引き立てます。岩場からの眺望も美しく、途中休憩しながら絶景を堪能するのもおすすめです。

山頂の見どころと神話

ブナ林と展望台

山頂には、ブナ林に囲まれた展望台が設けられており、ここからは大和盆地や台高山脈の雄大な風景を一望することができます。この展望台は、避難所としての機能も兼ね備えており、安全面にも配慮されています。

高角神社と神話の世界

山頂には、道案内を務めた八咫烏(やたがらす)を祀る高角神社が鎮座しており、古代の神話と深く結びついた霊山としても知られています。伝承によれば、神武天皇が東征の際にこの地を訪れ、山頂から四方を見渡したとされる「国見岩」もあり、まさに歴史と自然が調和する神聖な場所です。

また、『万葉集』には次のような歌があります。

「我妹子を いざ見の山も高みかも 大和の見えぬ 国遠みかも」

この「いざ見の山」が、高見山を指すのではないかとも言われており、万葉の時代から人々に愛されてきた山であることが伺えます。

まとめ

高見山は、美しい自然と深い歴史、豊かな伝承に彩られた名峰です。春から秋には草花や紅葉、冬には霧氷と、一年を通して訪れる人々を魅了し続けています。登山道は整備され、初心者から上級者まで楽しめるルートがあり、山頂からの眺望はまさに絶景です。さらに神話や万葉の歌にも登場するこの山は、単なる観光地にとどまらず、心の安らぎと歴史への畏敬を感じられる特別な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を実際に体感してみてはいかがでしょうか。

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高見山
(たかみさん)

吉野・天川村・十津川

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