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湯泉地温泉

(とうせんじ おんせん)

奈良県吉野郡十津川村に位置する「湯泉地温泉」は、十津川村のほぼ中央にあり、同村内で最も古い歴史を持つ温泉地です。その起源は室町時代にまで遡り、多くの歴史的文献にも登場しています。静かな山峡の情緒を味わえるこの温泉地は、訪れる人々に心身の癒しを提供しています。

泉質と効能

湯泉地温泉の泉質は単純硫黄泉で、源泉温度は約60℃です。湯は無色透明で、やわらかな硫黄の香りが特徴です。源泉かけ流し(季節により加水による湯温調整あり)で提供されており、新鮮な温泉を楽しむことができます。効能としては、神経痛、筋肉痛、関節痛、リウマチ、疲労回復、慢性婦人病などが挙げられ、幅広い症状に効果が期待されています。

温泉街と施設

湯泉地温泉には、十津川村役場近辺に4軒の旅館2軒の民宿が点在しています。また、共同浴場として「泉湯」と「滝の湯」の2軒の公衆浴場があり、いずれも露天風呂と内湯を備えています。これらの施設では、日帰り入浴も可能で、地元の人々や観光客に親しまれています。

公衆浴場「泉湯」

「泉湯」は、渓谷沿いに位置する素朴な温泉で、露天風呂からは十津川の渓流と対岸の緑を一望できます。日帰り湯としても好評で、自然の中でゆったりとした時間を過ごすことができます。

公衆浴場「滝の湯」

「滝の湯」は、十津川の木をふんだんに使用した木のぬくもりあふれる安らぎの温泉です。木の香りと温泉の硫黄の匂いが調和し、訪れる人々に癒しの空間を提供しています。

歴史

湯泉地温泉の歴史は古く、文献に初めて登場するのは天文22年(1552年)、本願寺8世蓮如の末子である実従が湯治を行った記録(『私心記』)があります。その後も、天正9年(1581年)には佐久間信盛(『多聞院日記』)、天正14年(1586年)には顕如上人(『宇野主水記』)、文禄4年(1595年)には大和中納言秀保(『多聞院日記』)が訪れています。信盛と秀保は、いずれも療養のために訪れたこの地で亡くなったため、十津川の湯が文献に残されました。なお、当地には佐久間信盛の墓も残されています。

かつてこの地には、薬師如来を本尊とする「東泉寺」という寺がありました。『東泉寺縁起』によると、役行者が十津川の流れを分け入ったところにある霊窟で加持祈祷を行ったところ湯薬が湧出し、弘法大師が大峯修行の際に湯谷の深谷に先蹤をたずね薬師如来を造顕したとされています。宝徳2年(1450年)に地震で湯脈が変わり、武蔵の里に湧出し、いつしか十津川沿いの現地に移ったと伝えられています。湯泉地温泉の名は、この東泉寺に由来しています。

十津川温泉郷と源泉かけ流し宣言

1985年(昭和60年)3月19日、湯泉地温泉は十津川温泉、上湯温泉とともに国民保養温泉地に指定されました。さらに、2004年(平成16年)6月28日には、十津川温泉郷の3つの温泉(湯泉地温泉、十津川温泉、上湯温泉)にある25の温泉施設すべてが「源泉かけ流し宣言」を行いました。これは、温泉地全体のすべての温泉施設が「源泉かけ流し温泉」になるという、全国的にも非常に珍しい取り組みで、日本で初めてのことです。

この「源泉かけ流し温泉」とは、温泉のお湯を循環させず、一切再利用せず、沸かさず、塩素消毒をせず、薄めず、新鮮な温泉だけが浴槽内に常に滾々(こんこん)と流し入れられている状態の温泉を指します。十津川温泉郷の豊富な湯量だからこそできる、極めて贅沢な「極上の温泉」です。

アクセス

車でのアクセス

五條市・新宮市から国道168号を利用し、「道の駅十津川郷」周辺を目指します。道中は山間部を通るため、運転には十分な注意が必要です。

バスでのアクセス

近鉄大和八木駅、JR五条駅、JR新宮駅より奈良交通(八木新宮線、十津川線)を利用し、「十津川村役場」停留所で下車します。車内放送では「十津川村役場(湯泉地温泉前)」として案内されます。バスの本数が限られているため、事前に時刻表を確認することをおすすめします。

まとめ

湯泉地温泉は、奈良県十津川村にある歴史ある温泉地で、静かな山峡の情緒を味わえる場所です。単純硫黄泉の泉質は、さまざまな効能が期待され、源泉かけ流しの新鮮な温泉を楽しむことができます。また、共同浴場や旅館、民宿が点在し、訪れる人々に癒しの時間を提供しています。アクセスは車やバスを利用し、自然豊かな十津川村の風景とともに、心身ともにリフレッシュできる温泉地です。

Information

名称
湯泉地温泉
(とうせんじ おんせん)

吉野・天川村・十津川

奈良県