五條新町は、奈良県五條市の中心部に位置し、江戸時代からの伝統的な建物が数多く残る貴重な地域として、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。この地区は、かつて城下町として発展し、現在も当時の面影を色濃く残しています。
五條新町は、慶長13年(1608年)に筒井氏の家臣・松倉重政が五條・須恵を領してこの地に入部し、二見城を築いたことに始まります。五條と二見の間に新たに形成された「新町村」は、城と町場をつなぐ重要な位置にあり、東・中・西の三町から構成されました。
松倉氏の移封後、五條新町は幕府の直轄地(天領)となり、商業の町として発展を遂げます。寛政7年(1795年)には五條代官所が置かれ、地域の政治・経済の中心としても機能しました。
五條新町は、伊勢・大和・紀伊を結ぶ街道が交差し、また吉野川(紀の川)が近くを流れる地理的条件から、伊勢街道の宿場町としても大いに栄えました。
現在、保存地区として指定されている範囲は東西約750メートル、面積約7.0ヘクタールにわたり、330棟の建物のうち143棟が伝統的建築物として特定されています。江戸時代から昭和初期にかけての建物が良好に保存されており、街道沿いには切妻造、平入り、瓦葺きの民家が並びます。
江戸時代の家屋には、天井の低い二階を設けた「つし2階建て」が多く見られ、明治以降になると本格的な2階建て構造が主流となります。特に2階部分に「大壁造(だいへきづくり)」が採用されており、時代の移り変わりを建築様式から読み取ることができます。
この地区には、吉野川の氾濫を防ぐための石垣も残されており、自然と共に暮らしてきた先人たちの知恵が垣間見えます。また、伝統的な家屋と調和する植栽や樹木も、町並みの景観をより豊かにしています。
栗山家住宅は、慶長12年(1607年)に建築されたと伝えられ、現存する民家としては日本最古とされています。昭和43年(1968年)には国の重要文化財に指定され、五條新町の歴史的価値を象徴する建物です。
宝永元年(1704年)に建てられた中邸もまた、奈良県の指定文化財となっており、江戸中期の建築様式を今に伝えています。
・栗山邸(五條市指定文化財)
・旧五條代官所長屋門(現在は民俗資料館)
・まちや館(木村篤太郎の生家)
・まちなみ伝承館
・レストラン「五條源兵衛」や「一ツ橋餅店」などの古民家活用施設も訪れる価値があります。
年間を通じて様々な催しが開催され、観光客に人気です。
五條新町へは公共交通でもアクセス可能です。
五條新町の周辺にも見どころが点在しています。
所在地:奈良県五條市(五條1丁目、本町2丁目、新町1・2丁目、二見1丁目・4丁目の一部)
面積:約7.0ヘクタール
家屋数:160戸、世帯数:153世帯
建築物数:330件(うち143件が伝統的建築物に指定)
特定物件:主屋87、土蔵31、寺社12、離れ9、石垣18件、樹木1件(環境物件)
文化財指定:国指定重要文化財1件、県指定有形文化財1件、市指定文化財1件
・第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)
・商業地域(建ぺい率60%、容積率400%)
・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)
五條新町は、古き良き時代の風情が息づく町並みと、歴史的価値の高い建造物が見事に調和した魅力的な観光地です。訪れる人々にとっては、ただの歴史散策だけでなく、地域の文化や暮らしの息吹を体感できる特別な場所となっています。奈良を訪れる際には、ぜひこの五條新町にも足を運んでみてはいかがでしょうか。