竜田公園は、奈良県生駒郡斑鳩町南西部、竜田川沿いに広がる県立都市公園です。総延長は約2km、面積は約14ヘクタールに及び、川と山、そして歴史文化が一体となった自然豊かな景勝地として知られています。古来より和歌に詠まれてきた竜田の地は、龍田神社の鎮座地としても知られ、自然と信仰、文学が調和した特別な場所です。
竜田川とその周辺は、平安時代から紅葉の名所として名高く、多くの歌人たちに愛されてきました。とりわけ有名なのが、在原業平による
「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」
という和歌です。川面を染める紅葉の美しさを、まるで水が紅色に染められたかのように表現したこの一首は、竜田の秋を象徴する名歌として広く知られています。
また、百人一首にも選ばれている能因法師の
「嵐ふく 三室の山の もみじ葉は たつ田の川の 錦なりけり」
も、この地の風景を鮮やかに伝える和歌です。これらの歌により、竜田は古くから文学と結びついた風雅な土地として語り継がれてきました。
公園内には、標高82メートルの三室山(みむろやま)があり、山頂まで整備された遊歩道を利用して気軽に登ることができます。山頂には能因法師の供養塔と伝えられる五輪塔が立ち、静かな雰囲気の中で歴史に思いを馳せることができます。
春には三室山を中心に桜が咲き誇り、初夏には新緑がまぶしく、秋にはイロハモミジやヤマモミジ、トウカエデなどが公園一帯を彩ります。冬には葉を落とした木々の間から穏やかな川の流れが望め、一年を通して異なる表情を楽しめるのも竜田公園の魅力です。
竜田川は大和川水系の一級河川で、古くは平群川とも呼ばれていました。現在の竜田公園周辺の川は、和歌に詠まれた「竜田川」とは場所が異なるとされていますが、それでもこの地が紅葉の名所として整備・継承されてきた歴史的価値に変わりはありません。
毎年晩秋には紅葉が見頃を迎え、11月下旬から12月上旬にかけては多くの観光客が訪れます。紅葉の時期に開催される行事や散策は、龍田神社参拝とあわせて楽しむのに最適です。
竜田公園へは、JR大和路線「王寺駅」から奈良交通バスで「竜田大橋」下車、徒歩数分とアクセスも良好です。徒歩でも王寺駅から約25分ほどで到着でき、周辺の町並みを楽しみながら散策するのもおすすめです。
龍田神社への参拝とともに竜田公園を訪れることで、信仰・文学・自然が調和した龍田の魅力をより深く味わうことができます。古歌に詠まれた景色を実際に歩きながら感じられる、奈良ならではの風情ある観光スポットです。
夜間は入園不可
無料
JR大和路線「王寺駅」より奈良交通バス5分「竜田大橋」下車のち、竜田公園・紅葉橋まで徒歩5分