矢田坐久志玉比古神社は、奈良県大和郡山市矢田町に鎮座する格式高い神社です。古くは『延喜式神名帳』に記載されている大和国添下郡十座の筆頭社であり、式内大社として古来より地域の人々に崇敬されてきました。
この神社は、別名「矢落神社(やおちじんじゃ)」としても知られ、昭和13年(1938年)10月には旧社格の郷社から格上げされて県社となりました。
『新抄格勅符抄』の大同元年(806年)に記された「矢田神二戸 大和」という記述からも明らかなように、矢田坐久志玉比古神社は、それ以前から存在していたと考えられる由緒正しい古社です。
また、仁徳天皇の皇后とされる矢田皇女が、この矢田の地の出身であると伝えられており、神社のある地域にゆかりの深い人物として知られています。境内の案内板には、「当地方最大の古社として創建より六世紀前半までは畿内随一の名社として栄えた」と記されており、古代における重要性がうかがえます。
本社に祀られている祭神は以下の二柱です。
このうち、櫛玉饒速日命は『先代旧事本紀』にて天磐船に乗って空を飛んだと記されており、これに由来して現代では「航空祖神」として信仰を集めています。
このような信仰背景をもとに、毎年9月20日には「航空祭」が開催され、航空安全や飛行の成功を祈願します。境内にある楼門には、実際に戦闘機で使用されたプロペラが奉納され、屋根裏から吊るされています。この奉納物は、神社が現在も多くの人々の航空安全を祈る場であることを象徴しています。
明治12年に作成された神社明細帳によれば、一時期天太玉命(あめのふとだまのみこと)が主祭神とされた記録があり、これは明治新政府の宗教政策によるもので、約40年にわたり本来の祭神が変更された時期がありました。現在は本来の二柱に戻されています。
矢田坐久志玉比古神社には、次の建造物が国の重要文化財に指定されています。
境内外には、以下の神社も存在します。
矢田坐久志玉比古神社へのアクセスは以下の通りです。
矢田坐久志玉比古神社は、古代から現在に至るまで多くの歴史的背景と文化的価値を有し、地域住民のみならず全国の参拝者から厚い信仰を集めています。航空の神としての信仰や重要文化財の建造物など、見どころが多く、歴史と神話の世界を体感できる貴重な場所です。
奈良を訪れた際には、ぜひ立ち寄って歴史と信仰の深さを感じてみてはいかがでしょうか。