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国営 飛鳥歴史公園

(こくえい あすか れきし こうえん)

日本のはじまりを今に伝える聖地

7世紀に宮都が置かれた地

国営飛鳥歴史公園は、奈良県高市郡明日香村に広がる、日本の古代史を代表する国営公園です。7世紀に日本の宮都が置かれた「飛鳥」の地に整備されたこの公園は、中央集権律令国家が誕生した時代の歴史的舞台を、自然とともに体感できる貴重な空間となっています。

飛鳥時代(592年~710年)は、日本が国家としての形を整え始めた重要な時期であり、仏教の本格的な受容、律令制度の基礎確立、外交や文化の発展など、日本史における大きな転換点が集中しています。国営飛鳥歴史公園は、こうした日本の原点ともいえる歴史と、明日香の美しい自然景観を守り、次世代へ伝えることを目的として整備されました。

段階的に整備された五つの地区

国営飛鳥歴史公園は、昭和46年度から段階的に整備が進められ、以下の五つの地区から構成されています。総面積は約60ヘクタールにおよび、これは甲子園球場およそ15個分に相当する広さです。

高松塚周辺地区

高松塚周辺地区は、公園の玄関口として位置づけられ、アクセスの良さが特長です。この地区には、飛鳥探訪の出発点となる国営飛鳥歴史公園館があり、立体模型や映像、タッチパネルを用いて飛鳥地方の歴史や史跡を分かりやすく紹介しています。

また、1972年に極彩色の壁画(国宝)が発見された高松塚古墳があり、隣接する高松塚壁画館では、石槨内部の模型や壁画の精密な模写、出土品の再現展示を見ることができます。さらに、星宿をモチーフにした星宿広場など、歴史とロマンを感じさせる空間が整えられています。

石舞台地区

石舞台地区の中心となるのが、日本最大級の方墳として知られる石舞台古墳です。この古墳は、飛鳥時代の有力豪族である蘇我馬子の墓と伝えられ、巨大な石室が露出した独特の姿は、飛鳥を代表する景観の一つです。

周囲には、なだらかな棚田地形を生かした芝生広場や、イベントにも利用されるあすか風舞台が整備され、歴史学習だけでなく、憩いと交流の場としても親しまれています。

甘樫丘地区

甘樫丘地区は、標高148メートルの甘樫丘展望台を中心としたエリアです。展望台からは、飛鳥古京の集落、藤原京跡、大和三山、金剛山系、生駒山、二上山などを一望でき、古代の人々が見たであろう大和国原の風景を体感できます。

また、園路の一部は万葉の植物園路として整備され、『万葉集』『古事記』『日本書紀』に詠まれた約40種類の植物を観察しながら散策することができます。

祝戸地区

祝戸地区は、飛鳥古京の南側に位置する通称ミワ山・フグリ山一帯とその山麓に広がるエリアです。展望台や芝生広場、散策路が整備され、大和三山を背景にした飛鳥古京や、奥飛鳥・稲渕地区の棚田風景を望むことができます。

この地区には、宿泊施設飛鳥の宿「祝戸荘」もあり、飛鳥をじっくりと巡る拠点として利用されています。

キトラ古墳周辺地区

平成28年(2016年)に開園した最も新しい地区がキトラ古墳周辺地区です。ここには、キトラ古墳の壁画を保存・展示するキトラ古墳壁画体験館 四神の館があり、四神や天文図など、古代の高度な文化を学ぶことができます。

古墳鑑賞広場や四神の広場のほか、体験工房、農体験小屋、五穀の畑、キトラの田んぼなどが整備され、自然と歴史を体験的に学べる場となっています。

公園の特長 ― フェンスのない「生きた歴史空間」

国営飛鳥歴史公園の大きな特長は、一般的な公園のように明確なフェンスや境界で区切られていない点にあります。五つの地区は、のどかな田園風景の中に点在し、周辺の史跡や古寺、集落と自然につながっています。

そのため、訪れる人は「公園を訪れる」という感覚だけでなく、「古代の里を歩く」体験を味わうことができます。これは、飛鳥の歴史的風土そのものを守り、活かそうとする国営公園ならではの魅力です。

イベント・体験プログラムの充実

飛鳥光の回廊

毎年9月に開催される飛鳥光の回廊では、明日香村全域が幻想的な光に包まれます。高松塚周辺地区では、「光の地上絵」など、歴史と芸術を融合させた演出が行われ、多くの来訪者を魅了しています。

里山あそび広場・自然体験

春と秋に開催される里山あそび広場では、昔ながらの遊びや自然素材を使ったクラフト体験が楽しめ、親子連れを中心に高い人気を誇ります。また、甘樫丘地区では国蝶オオムラサキの放蝶・放虫会も行われています。

体験プログラム

遠足や修学旅行などの団体向けに、歴史・クラフト・環境教育の三分野からなる体験プログラムが用意されています。勾玉作りやゲームを通じた環境学習など、楽しみながら学べる内容が充実しています。

周辺史跡・文化施設との連携

国営飛鳥歴史公園の周辺には、飛鳥寺跡、川原寺跡、酒船石遺跡、橘寺、岡寺など、数多くの史跡が点在しています。また、奈良県立万葉文化館や飛鳥資料館などの文化施設とあわせて巡ることで、飛鳥時代への理解をより深めることができます。

歴史的風土保存と国営公園誕生の背景

明日香村では、昭和41年(1966年)に制定された古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)に基づき、約39ヘクタールが歴史的風土保存区域に指定されました。しかし、高度経済成長期を迎えた日本では、村の周辺にも急速な開発の波が押し寄せ、長い年月をかけて守られてきた文化財や歴史的景観が失われる危機に直面していました。

こうした状況を受け、国は昭和45年(1970年)12月に「飛鳥地方における歴史的風土及び文化財の保存等に関する方策について」を閣議決定します。この方策では、歴史的遺産の保存と活用、そして地域住民の生活向上を両立させることが掲げられ、その具体的施策として国営飛鳥歴史公園の整備事業がスタートしました。

アクセス案内

鉄道利用

近鉄吉野線橿原神宮前駅から奈良交通バスを利用するほか、近鉄飛鳥駅から徒歩約7分、またはバスで各地区へアクセスできます。

自動車利用

大阪方面からは、阪和自動車道・南阪奈道路・国道169号を経由して明日香村へアクセス可能です。各地区周辺には駐車場も整備されています。

国営飛鳥歴史公園が伝えるもの

国営飛鳥歴史公園は、日本という国が形づくられていく過程を、自然と歴史の両面から学ぶことができる、他に類を見ない場所です。古代の遺跡を「展示物」としてではなく、「今も息づく風景」として体感できる点に、この公園の最大の価値があります。

国営飛鳥歴史公園は、過去を学び、現在を見つめ、未来へと歴史をつなぐための、かけがえのない文化的資産なのです。

Information

名称
国営 飛鳥歴史公園
(こくえい あすか れきし こうえん)
リンク
公式サイト
住所
奈良県高市郡明日香村平田
電話番号
0744-54-2441

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