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今井町(奈良県)

(いまいちょう)

今井町は、奈良県橿原市に位置する、重要な歴史的町並みが残る地区です。重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、古い町並みや歴史的建造物が美しく保存されていることから、「東洋のベニス」とも称されることがあります。

戦国時代から江戸時代にかけて栄えた商人町で、かつて自治都市として発展し、現在も江戸時代の街並みを色濃く残しています。今井町は「日本最古の自治都市」として知られ、多くの歴史的建造物が立ち並ぶ貴重な地域です。

歴史的背景

今井町の歴史は戦国時代に遡ります。この地域はもともと自治を行っていた自由都市であり、堅固な城郭都市として発展しました。16世紀後半には、織田信長や豊臣秀吉といった歴史的な武将たちの戦いにも関わり、その後は商業の中心地として繁栄を遂げました。町内には当時の面影を残す古民家や商家が点在し、その重厚な建築美が今も人々を惹きつけます。

見どころと観光スポット

今井まちや館は、町並みの歴史や文化を学ぶことができる施設であり、町歩きの起点としておすすめです。ここでは江戸時代の町並みの再現や、当時の暮らしぶりを知ることができる展示が充実しています。また、今西家住宅旧米谷家住宅といった歴史的建造物も見逃せません。これらの建物は、いずれも江戸時代に建てられた貴重な文化財で、その美しい木造建築は訪れる人々に感動を与えます。

国の重要文化財

今西家住宅

今西家住宅は、もともと十市氏に連なる家系で、1566年(永禄9年)に十市遠勝が筒井順慶に圧迫されて今井に逃れた際に、その一族である河合清長が当地に移住し、その後、1575年(天正3年)に織田信長軍と戦ったものの敗れました。しかし、信長から赦免され自治権を認められ、裁判を執り行う権利を得ました。1650年(慶安3年)に再建されたこの建物は、内部にお白州や拷問部屋であるいぶし牢が残る貴重な構造を持ち、戦国時代の様式を今に伝える建造物です。その構造から「八つ棟(やつむね)」または「八つ棟造り」とも呼ばれ、日本建築史上非常に価値の高い建物とされています。1957年(昭和32年)6月18日に国の重要文化財に指定され、現在も一般に公開されています。

豊田家住宅(西の木屋)

豊田家住宅は、屋号を「紙八」と称し、江戸末期から明治初期にかけて移住した家族の住宅です。もともとは材木商や金融業を営む牧村家の所有で「西の木屋」として知られていました。福井藩藩主松平春嶽に対する金融支援を行うなど、その財力は大きく、藩の蔵元も務めていました。しかし、明治維新後の大名貸の放棄により今井町を離れることとなりました。この住宅は1662年(寛文2年)に建てられ、今井町に現存する建物の中でも特に古いものの一つです。1972年(昭和47年)5月15日に国の重要文化財に指定されています。

上田家住宅

上田家住宅は、屋号を「壺屋」とし、その先祖は片岡城主・片岡新助藤原春利にさかのぼると言われています。片岡城落城後、1571年(元亀2年)に当地に移住し、1679年(延宝7年)からは今西家、尾崎家と並んで惣年寄を務めた家系です。1744年(延享元年)の祈祷札が残っており、建物はその頃のものと推定されます。重厚な入母屋造りで、特徴的な西向きの入口が印象的です。1972年(昭和47年)5月15日に国の重要文化財に指定されています。

称念寺

称念寺は、浄土真宗本願寺派の寺院で、かつては今井町の精神的中心として栄えました。先祖は近江国の河瀬城主であった河瀬氏で、浅井長政に仕えた河瀬権八郎が得度してこの寺を創建したと伝えられます。本堂は近世初頭に再建され、2002年(平成14年)5月23日に浄土真宗の寺院としては本山以外で初めて国の重要文化財に指定されました。

今井町の文化財と見どころ

橿原市立今井まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」

今井町の観光案内の拠点として親しまれている「華甍(はないらか)」は、1903年(明治36年)に建てられた建物で、かつては旧高市郡教育博物館として使用されていました。県指定有形文化財であり、社会教育施設としての歴史を持ち、旧帝国奈良博物館本館に次ぐ施設として建設されました。その後、1929年(昭和4年)より今井町役場としても利用され、現在は今井町の歴史をわかりやすく学べる場所として、さまざまな展示や資料が充実しています。展示コーナー、映像シアター、ジオラマ模型、図書閲覧室があり、入館は無料です。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始(12月25日~1月5日)で、有料駐車場も完備されています。

丸田家住宅

「壺八」の屋号で知られる丸田家住宅は、肥料商を営んでいた旧上田家の建物です。主屋は1805年(文化2年)に再建されたもので、さらに約50年前に遡る建物も含まれています。主屋、隠居部屋、内蔵、倉庫、作業場の5棟が奈良県指定有形文化財に指定されており、歴史的な価値が高いものですが、非公開となっています。

山尾家住宅

「新堂屋」の屋号で両替商を営んでいた山尾家住宅は、十市郡新堂村から移住した家系で、幕末には町年寄を務めるなど、今井町の経済の中心を担っていた家です。明治天皇の行幸時には木戸孝允が投宿したことでも知られています。主屋、座敷、内蔵、隠居所、東蔵の5棟が奈良県指定有形文化財に指定されており、その豪華さは「今井しんどやは大金持ちや 金の虫干し玄関までも」と歌われるほどでした。

旧常福寺観音堂

1613年(慶長18年)に建立された旧常福寺観音堂は、慶長18年7月16日癸丑の棟札が残る歴史的建築物で、本尊は十一面観世音菩薩です。1681年(天和元年)には天台宗多武峯妙楽寺の末寺として属し、橿原市今井町3丁目の春日神社境内に現存しています。

春日神社

今西家の旧宅地に建てられた春日神社は、常福寺の鎮守として創建されました。具体的な創建年代は不明ですが、1652年(承応元年)に奉納された石灯籠に刻まれた銘から、それ以前に存在していたことがうかがえます。境内には49基の石灯籠が奉納されており、江戸時代を通じて堺や大坂の商人たちとの交易関係を示す重要な文化財です。例祭は9月末の土・日曜日に行われ、戦前は各町から7台のだんじりが出てにぎわいました。

その他の見どころ

今井町にはその他にも多くの見どころがあります。紙半豊田記念館、中澤家住宅、今井まちづくりセンターなどがあり、それぞれに歴史や文化が息づいています。また、今井児童公園や北環濠小公園などの緑地もあり、町の景観保全に重要な役割を果たしています。

季節ごとの楽しみ

今井町は季節ごとに異なる表情を見せる魅力的な場所です。春には桜が咲き誇り、町全体が華やかな雰囲気に包まれます。夏は青々とした緑が町を彩り、秋には紅葉が歴史的な建物と調和して美しい風景を作り出します。冬は静寂の中に凛とした美しさが漂い、雪景色の古民家はまるで時を超えたかのような幻想的な風情を醸し出します。

アクセスと周辺情報

今井町へのアクセスは、近鉄「八木西口駅」から徒歩約10分と便利です。また、周辺には橿原神宮や飛鳥村などの歴史的な観光スポットも点在しており、併せて訪れることでさらに充実した旅を楽しむことができます。

おわりに

今井町は、古き良き時代の風情を感じさせる街並みと、歴史の重みが感じられる建築物が特徴です。訪れる人々は、静かな街角や伝統的な建物を眺めながら、時を超えた旅を楽しむことができます。また、年間を通じてさまざまなイベントや季節の花々が町を彩り、多くの観光客を魅了しています。ぜひ訪れて、歴史と文化に触れるひとときをお楽しみください。

Information

名称
今井町(奈良県)
(いまいちょう)

明日香・橿原

奈良県